契約解除による原状回復
原状回復
契約解除は契約を遡及的に消滅させるものなので、契約に基づいて相手方に給付したものは戻してもらい、給付されたものは相手方に戻さないといけません。このように契約がなかったときと同じ状態に戻す事を原状回復といいます。
■建物の引渡しが行われているとき
建物は返還する必要がありますが、このとき、引渡しを受けた買主がその建物を修理して費用を使っていればその費用を、また風呂場を改修するなど有益費を出していれば、買主の選択によりその有益費の額、あるいはその価値の増加額のいずれかを返還してもらうことができます。
■売買代金の支払いを受けているとき
金銭を受け取ったときからの利息をつけて返還しなければいけません。利息について特別の定めがなければ、民事法定利率年5分の割合で利息を計算します。業者間の売買契約であれば、商事法定利率年6分で計算します。
■不動産の登記
所有権移転登記が行われている場合は、その抹消登記の手続きが必要です。この手続きがなければ、原状回復したことにはなりません。
■原状回復と第三者
契約が解除されると、契約が最初から無かった場合と同じ効果(遡及効)が生じますが、第三者の権利を害することはできません。第三者とは、契約が成立したことを前提として解除までに新たな権利を取得した人を言い、契約の目的物の譲受人や抵当権者等がこれに該当します。
このような第三者に対しては、解除による遡及効を主張できません。しかし、保護される第三者は登記などの対抗要件を備えたものに限られます。
■継続的契約関係における原状回復
賃貸借契約のような継続的契約関係においては、契約解除による効果は過去に遡らず、将来に向かってのみ発生します。そのため、貸主は解除以前に受け取った賃料を返還する必要はありません。