土地の一部分だけの売買
特定と分筆
1個の土地の一部だけを売買することも可能です。ですが、その場合、どの部分を売買するのかを特定しなければいけません。また、その部分を分筆して所有権移転登記しないと、第三者に対抗できません。
□特定の方法
土地の一部を特定する際は、境界標識を設けて事実上、土地の区分けをします。そして、土地の地積に関する測量図を作り、その測量図上に分割する土地の境界点と境界線を明示して、既存の境界点及び境界線からの距離を表示するのが普通です。
□分筆登記
1個の土地を区分して数個の土地とし、各部分を所有権の明確な対象とするためには、登記簿上、分筆手続きをする必要があります。その手続きをしないと、事実上、数個の土地に区分しても、法律上は1個の土地の一部としかみなされません。
判例上は、分筆しなくても境界が識別できれば売買による譲渡ができますが、分筆して所有権移転登記しなければ、第三者に対抗することができません。
例えば、分筆登記前に売主が一筆の土地全部を第三者に売却し、第三者が登記をすると、一部の土地の買主は売買代金を全額支払っていても、所有権は第三者のものとなってしまいます。
□分筆と通行権
仮に1個の土地を分筆した結果、ある土地が公道に接しなくなった場合、その土地の購入者の通行権はどうなるかといった問題が起こります。
この場合、土地購入者は他の分筆された土地だけを無償で通行できるとされています。また通行権は、他の分筆された土地が第三者に譲渡されても消滅しないとするのが判例となっています。