他人物売買
所有権の取得・移転
売主が他人の所有する物件について売買契約を結ぶことを、他人物売買といいます。民法上、他人物売買は有効とされますが、買主は所有権を取得できる場合とできない場合があるので、対処法を知っておく必要があります。
○他人物売買における所有権の取得
民法では、他人の物について所有者の同意なく売買契約を締結した場合でも、契約自体は有効とされています。このとき、売主はその所有者から所有権を取得して、これを買主に移転する義務を負います。
そのため、買主が物件の所有者になるためには、売主がその義務を履行することが前提となります。
○売主の所有権移転義務の履行が不能の場合
・買主からの契約解除
この場合、母親が売却に賛同せず、第三者に所有権を移転し、登記をすれば売主は買主に所有権を移転する義務を履行できません。その場合、買主は契約を解除することができます。売主に義務不履行に関する責任があるかどうか、また買主が他人物売買であることを知っていたかどうかは問われません。
買主が他人物売買であることを知らなかった場合、売主に対して損害賠償の請求もでき、また、悪意の買主でも売主に責任がある場合は、損害賠償を請求できます。
・売主からの契約解除
契約当時、売主・買主ともに他人物であることを知らなかった場合、売主は買主に損害賠償をすれば契約を解除することができます。
また、買主のほうが他人物であることを知っていた場合は、売主は買主に権利の移転ができないことを通知するだけで契約を解除できます。