抵当権のある物件
抵当権の消滅
物件に抵当権がついていても、債務者が債務を返済すれば何ら問題はありませんが、債務者が債務を返済できないと、その物件は競売にかけられ、競落した人が所有者となります。
そうなると、買主は売主から登記を得ていたとしても所有権を失う事になります。抵当権の登記のある物件の場合、所有権移転の登記を受けたからといって安心はできません。
□抵当権が実行されて所有権を失った場合
こういう場合は、売買契約を解除して、それまでに支払った金銭の返還を請求でき、また損害賠償の請求もできます。
ですが、売主は借金が払えないため抵当権を実行されたので、通常、その売主に返還請求や損害賠償請求に応じられる資力があるとは考えられません。そのため、買主の泣き寝入りという事態になる恐れがあります。
□買主の対抗措置
抵当権付の不動産の買主は「てき除」という手続きによって、不動産についた抵当権を消滅させることができます。これは買主が抵当権者に金銭を支払うことによって、抵当権の消滅を申し入れるという方法です。
買主が売買代金を支払っていない場合は、てき除が抵当権者に受け入れられ、その手続きが終わるまで、売主に対する代金の支払いを拒否することができます。売買代金の支払いが終了していると、買主は売主に対して、てき除のために要した金銭を要求できますが、請求に応じる資力が売主にないこともあります。
□安全な方法
抵当権付の不動産を買うときは、遅くとも代金支払期日までに抵当権を消滅させることを売主に要求しましょう。
通常、代金支払いのときに抵当権者に同席してもらい、買主が支払う売買代金の全てあるいは一部を売主の債務弁済のための支払いに充てることを決め、それと引換えに抵当権の登記の抹消に必要な書類を買主が受け取るといった方法が採られます。