申込証拠金
申込証拠金について
申込証拠金は実務の慣行から生まれた制度であり、法律上の制度ではありません。また、この件に関する適切な判断も無く、そういう意味でトラブルが絶えないところがあります。
■申込証拠金の差し入れと契約の成立
大抵、購入者が申込証拠金を差し入れるのは物件の購入を決める前に検討し直し、その間に物件を押さえて権利を確保したいと考えるためです。
申込証拠金を払っただけでは、売買契約はもちろん売買の予約も成立しません。ですから、申込みの撤回は原則として自由となっています。
■法的性格
申込証拠金は、申込み意思の確認と契約順位を確保するため、授受される金銭であり、契約に至れば売買代金に充当され、契約に至らない場合は客に返却されるというのが一般的な考え方です。
■手付金との違い
手付金は売買契約が成立した後に授受される金銭なので、契約成立前に授受される申込証拠金とは違います。
■申込証拠金の没収
申込証拠金を払った後で申込を撤回すると、申込証拠金の没収を主張する業者もいます。そういう業者は、申込証拠金の法的な性格を解約手付や違約手付に類似するものと考えるためです。
ですが、申込書にその旨の記載があれば問題ありませんが、そうでないと没収は不当な主張になります。
また、没収できるとの記載があっても、建設省の通達は申込証拠金の額が申込みの事務処理に、通常必要とされる額を大幅に上回って授受される場合は、著しく不当な行為になるとして、没収できる額を制限しています。