手付金の返還
返還の条件
業者自身が売主となって物件を売買する場合、一定の条件を満たさない限り、買主から手付金などを受領してはいけないことになっています。
まず、造成中の分譲地や建設中の分譲マンションなど、完成前の物件を売買する場合は、以下の(1)または(2)の措置を、また完成後の物件を売買する場合は、(1)(2)(3)のいずれかの措置を講じなければ、手付金等を受領できません。
ここでいう手付金等とは、手付金以外に前金、中間金など呼び方はどうあれ、代金に充当される金銭で、契約締結の日から物件の引渡し前までに支払われる金銭をいいます。
(1) 買主に対する手付金等の返還債務について、業者と銀行との間で銀行が連帯保証人になる旨の契約を結び、それを証明する書面を買主に渡すこと。
(2) 買主が被ることになる損害について、業者と保険会社との間で、少なくとも手付け金等と同じ額の保険金を保険会社が支払う旨の契約を締結し、その保険証券を買主に渡すこと。
(3) 業者が法の定める指定保管機関との間で手付金等保管契約を締結し、それを証明する書面を買主に渡すこと。さらに、業者と買主の間で寄託金返還請求債権に対する質権設定契約を結び、その証書を買主に渡して、指定保管機関にその旨を通知すること。
業者が以上の措置を講じないなら、買主は手付金を払う必要はありません。これらの措置が講じられれば、業者が倒産しても買主は支払った手付金などの金銭を取り戻すことが可能です。
ですが、以下の場合は、手付金保証、保管制度は適用されません。
◆ 業者が売主ではなく、仲介、代理として介入する場合
◆ 物件の所有権が買主に移転登記された場合
◆ 手付金等の額が、完成前の物件では代金の5%以下かつ1000万円以下の場合、完成後の物件では代金の10%以下かつ1000万円以下のとき
◆ 申込み順位を確保するための申込証拠金の場合
◆ 買主が業者の請求がないのに任意に支払った場合