代理人との契約
代理行為について
○代理の種類
・ 任意代理――――委任契約の締結により、本人が代理人に代理権を与える場合と、本人が単独行為で代理人を選任する場合があります。
・ 法定代理――――法律の規定や裁判所の決定に従って代理権が与えられる場合をいいます。例えば、親権者は子の財産に関する法律行為について代理権を持ち、禁治産者の後見人も代理権をもっています。
○代理行為が有効となるための要件
・本人から与えられた権限内の行為であること
本人が「この土地を売る」「建物を貸す」などという目的で代理権を与えた場合、代理人が代理権を行使できるのは「土地を売る」または「建物を貸す」という行為に限定されます。
・本人のために行う行為である事を表示すること
代理人が代理行為として売買契約などを結ぶとき、本人のための行為である事を表示しないと、その契約は代理人のために行った契約とみなされます。
代理権の無い人と契約する場合
●代理権が認められない場合
他人の実印を勝手に使って委任状を偽造し、代理人になりすまして本人の土地を売買した場合などは、有効な代理行為とは認められません。このような行為を無権代理といい、本人が追認しない限り、本人は法律行為の責任を問われません。
無権代理人の相手方は、本人が追認しない場合、無権代理人に対し、契約の履行か、または損害賠償の支払いを請求することが可能です。
●相手方が救済される場合
本人がAさんを代理人にする旨を表示したとき、実際には代理権を与えていなくても、Aさんが表示に従って行った行為については、相手方がAさんに代理権があると信じた場合に限り、本人に責任が発生します。
このように、代理人に権限が無いのに、権限のある代理人として信じたことにやむを得ない事情がある場合、これらは表見代理にあたり、相手方が善意無過失の場合に限って、有効な取引と見なされます。