相続人との売買
身分関係の調査
ある人が亡くなったとき、誰が相続人になるかは民法が定めています。相続人が被相続人とどういう関係にあるかを知るためには、被相続人の出生まで遡り、身分関係を調べなければいけません。
身分関係は全て戸籍簿に記録されています。また、新戸籍を編成したり、途中で他の戸籍に入った場合は、元の戸籍から除籍されていますので、その除籍された戸籍も調べます。
相続物件の売買
■相続財産の共有
相続人が数人いるときは、相続財産は共有となります。相続財産を処分する場合、共有者である相続人全員の同意が必要になります。すなわち、そのような不動産を購入する際は、相続人全員が売主になります。
■遺産分割前の売買取引
相続財産を具体的に分ける協議を遺産分割協議といいます。この協議が成立する前は、相続人全員の同意がないと、相続財産を有効に取得することはできません。数人いる相続人のうち、1人の相続人との間で相続財産の売買契約を行っても、全部についての所有権を取得することにはなりません。
ですが、契約は無効にはならず、その相続人の共有持分のみを取得する結果になります。もちろん、それで売買契約の目的を達することができないと、契約の解除や損害賠償の請求ができます。
■遺産分割後の売買取引
遺産分割協議が成立すれば、通常は共有状態から単独所有の状態になるので、それほど問題ありません。遺産分割の効力は相続開始の時点に遡りますが、すでに財産の所有権が相続人から第三者に移っている場合、その第三者の権利を侵害することは認められません。