未成年者との売買契約
法定代理人の同意
満20歳未満の者を未成年者といいます。民法は未成年者の権利を保護する目的で、単独では完全に有効な法律行為を行う資格を認めていません。未成年者が自分の財産を売却しようとするときには、法定代理人の同意が必要になります。
同意を得れば、自ら第三者との間で売買契約を締結することができます。ですが、法定代理人の同意が無いままに売買契約が結ばれると、未成年者本人または法定代理人が、その契約行為を取り消すことが可能です。
契約の取消し
◆売買契約が取り消された場合
売買契約が取り消された場合、その契約は遡って無効とされます。ですから、未成年者から土地を買った買主はその土地を返し、支払った売買代金の返還を請求することができます。
ですが、未成年者が受け取った代金を全て使ってしまってから契約の取り消しを行った場合、代金の返還請求はできません。
◆取消しが制限される場合
未成年者が売買契約を行うときに、自分が未成年者であることを故意に偽った場合、契約を取り消すことはできません。
◆未成年者と売買契約を結んだ相手方の催告権
未成年者と売買契約を結んだ相手方は、未成年者が成人に達した後に、または成人に達する前であれば法定代理人に対し、1ヶ月以上の期間を定めて、法律行為を追認するかどうかの催告を行えます。
その場合、期間内に確答がなければ、法律行為は追認されたものとみなされ、未成年者側は行為の取消しができなくなります。
◆例外規定
未成年者が結婚した場合は、成年者として扱われます。また、法定代理人が未成年者に処分を許可した財産については、未成年者単独の法律行為は完全に有効とみなされます。
ですが、法定代理人が処分の目的を限定した場合は、その範囲内でしか処分できません。例えば、土地に抵当権を設定することを許可しただけなのに、その範囲を越えて土地を売却した場合、その行為は有効とは認められなくなります。