手付金
手付金とは
手付金は、特別な目的で授受される金銭であり、それ自体は売買代金の一部を成すものではありません。売買契約が順調に進んだ場合、手付金は代金の一部に充当されますが、それは清算の便宜を図った結果にすぎません。
そういう意味で、売買代金の一部として授受される内金とは違います。また、手付金は契約が成立したときに授受されるため、成立前に申込み意思の証明あるいは優先順位の確保のため授受される申込証拠金とも違います。
額と目的
■手付金の額
手付金の額は売主と買主の合意によって決められます。一般的に、売買代金の10~20%程度で決まります。業者自身が売主の場合、20%を超える手付金を受け取ることは禁じられています。
■手付金の目的
・ 証約手付――――売買契約が成立したことの証拠としての意味をもつ金銭です。実際には、この目的だけで授受する場合はあまりなく、ほとんどの手付は他の目的も併せ持っています。
・ 解約手付――――契約成立後、当事者が一方的に契約を解除できることを定めて、授受する金銭です。買主は、支払った手付金の返還請求権を放棄することで、売主は受け取った手付金の倍額を返還することで、契約を一方的に解除できます。
しかし、これができるのは相手方が契約の履行に着手する前だけです。例えば、契約内容に従って代金の一部を支払ったとか、土地の測量を完了したという場合、既に契約の一部が履行されているので、契約解除はできません。
・ 違約手付――――当事者の一方が契約違反をした場合、損害賠償金とすることを目的として授受する金銭です。買主が違反したとき、手付金は売主に没収されます。売主が違反した場合は、受け取った手付金の倍額を損害賠償金として買主に支払う必要があります。
損害賠償金を請求する場合は、実際の損害額を立証する必要はありません。ですが、特約がない限りは、手付金額以上の損害が発生しても、その分を請求することはできません。
また、請求される側は、実際の損害額が賠償金として請求されている額より低い事を立証しても減額されません。