法人との売買
法人の対外的取引
法人が行う対外的取引は、法人の代表者によって行われます。ですが、代表者でも独断で何でもできるわけではなく、法律やその法人の定款に従う必要があります。例えば、以下のような事柄が含まれています。
○ 社団法人や財団法人で複数の理事がいる場合は、定款に特別の定めがないかぎり、理事の過半数の承認を得る必要がある
○ 株式会社が重要な財産を処分するには、取締役会の承認を得なければいけない
○ 宗教法人が不動産を売却するには、規則に定めがない限り、責任役員の過半数の承認を得るほか、信者や利害関係人に1ヶ月以上前から公告を行う必要がある。
取引の注意点
株式会社が所有する土地を売却することは、その会社の規模、不動産の面積・価値などにもよるのですが、重要な財産の処分に当たり、取締役会の承認を要する場合が多くあります。
仮にある会社から土地を購入し、その直後に社長が交替し、新社長から「土地取引は前社長が取締役会の承認を得ないで行ったものだから無効です。土地の引渡しはできません」と言われて、訴訟に持ち込まれたとします。
その場合、これまでの判例からいっても、取引が取締役会の承認を得ないで行われたことを買主が知っていたか、あるいは簡単に知る事ができたと認められたら、取引無効の判決が言い渡される可能性があります。
そこで、法人と不動産取引を行う場合は、法人の登記簿謄本を取り寄せて代表者を確認し、役員会の議事録を提示してもらって、内容をチェックすることが求められます。
また、契約書には通常代表者印として登記所に印鑑届が出されている実印が使用されます。したがって、契約書に押されている印鑑と印鑑証明を照合することも必要です。